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ネリベルの作品リストを作成することは長年の悲願でした。1995年頃、ピーター・ブーンシャフト氏の研究成果となる伝記資料と370曲あまりの作品リストを入手しましたが、分類法やABC順の点で使いにくく、整理が必要と感じました。一部の編成について年代順に整理し直し、96年にNifty-Serveの音楽フォーラム・クラシック
(FCLA)、97年に旧ホームページで提示したものの、改良が進まないまま放置していました。このたび2016年の没後20年を前に整理を再開しました。
ネリベル本人は各作品の作曲・初演データ等についての記録を残すことに関心がありませんでした(その点ではアルフレッド・リードと対照的です)。扉に曲目解説のない楽譜も多く、たとえ解説があっても初演データや曲の背景はほとんど含まれていません。
これらに加え、このたびは遺品から発見された未出版作品を加えるという課題が加わりました。また、ネット検索中に未知の作品に出会って困惑することもあり、作業は困難を極めています。
日本語のタイトルは試訳段階のものもあります(曲の背景が不明で正しく訳せないものがあります)。
分類・配列は常に見直しています。
ネリベルについては、編曲作品は作曲作品と混ぜて整理します。
出版社名は統合や合併、権利譲渡等によって変わる場合があります。
グレード(1〜6)と演奏時間は出版社(作曲者)によるものです。
カバー・スコア表紙のデザインは、出版社や購入時期によって異なる場合があります。
参考音源へのリンクは、CD等が手に入りにくい曲を中心に少しずつ増やしていきます。
1996年、ネリベルの没後、夫人のドロシアが自宅の倉庫を整理していて、書籍や出版楽譜に混じって多くの未出版曲の楽譜が見つかりました。ドロシアは整理用にVN番号をつけ、1999年にスクラントン大学に寄贈しました。現在「ネリベル・コレクション」として管理されています。
なぜネリベルには未出版曲が多いのでしょう?
1) ヨーロッパの作品: 多くはラジオ放送用で、楽譜の出版を意図していませんでした。戦後チェコスロヴァキアの共産化の動乱の中で、持ち出すことができなかった楽譜もあります。
2) アメリカの作品: 作曲すれば必ず出版されるような状況ではありませんでした。ネリベルが多作家で、多くの曲の編成が特殊で(売れない)、一部はプロ向けで難易度が高く(売れない)などの理由で、出版社に期待できなかったと思われます。
作品を提供するため、ネリベルは自分で出版社を作りました(そのことで他社とより疎遠になったかもしれません)。1976年に立ち上げたクリストファー音楽出版社(JCMC)は学校用の平易な作品、後に立ち上げたバータ音楽出版社は主にプロ向けの作品を扱っていました。クリストファー音楽出版社には浄書会社に委託した曲もありましたが、自費出版の多くは手書きの楽譜をそのまま印刷したものでした。アメリカで吹奏楽曲を作曲した約30年間のうち、外部から出版されたのが最初の約10年間、その後の自費出版が約20年間だったことを考慮すれば、ネリベルの恵まれない出版事情が理解できるでしょう(ただし、この30年間は習作から熟達への上り坂の過程ではありません。ヨーロッパ時代の作品で分かっているものはみなプロ向けのいわゆる現代曲です)。
ネリベルの没後、ドロシアはバータ音楽出版の名称を引き継ぎ、未出版曲について希望者にオンデマンド出版(販売およびレンタル)で提供しています。近年、いくつかの出版社がネリベルの絶版・未出版曲の出版に乗り出しましたが、作品全体からみればまだごくわずかです。
ドロシアによるオンデマンド出版は不便な上に、将来にも不安があります。私が何かお手伝いできないものか、検討中です。未出版曲に関心をお持ちの方はメール等でご相談ください。
ヴァーツラフ・ネリベルの頭文字をつけたVN番号は、夫人のドロシアが遺品を整理しながらランダムにつけたもので、私が知る限り最大で188番まであるようです。
私自身はこの番号による整理をたいへん重要と位置づけました。プラハから楽譜を持ち出せなかった曲を除けば、すでに出版された曲とVN番号の曲を合計することによってネリベルの創作全体が見渡せると思ったのです。作曲年代が判明した曲から古いリストに移動していけば、未解明の曲を減らしていけるという図式を思い描きました。
ところが、番号順の全リストを見たいという私からのお願いに対し、ドロシア夫人は「VN番号は私の整理用だからそれほど価値はない」というご返事ばかりです。もしかすると未出版作品以外の資料(出版された曲の自筆譜や他者の作品とか)が混じっていたのかもしれません。夫人のお答えを大事にしつつも、現地で現物を見ないことには釈然としないのが正直な心情です。私が独自に製作した欠番を含むVN番号つき未出版作品リストもありますが、この扱いを今後どうするかは未定で、取りあえずご覧に入れておきます。