『アルフレッド・リードの世界 〜その人と作品77曲の全解説』はすでに版元で在庫切れになっており、図書館や古書店で入手するしかなくなっています。
多くの皆様にご愛読いただき、心から感謝申し上げます。
2023年に改訂版の出版が決まりました。そちらをご利用ください。
サイズ: A5判、283ページ
出版社: 佼成出版社
ISBN-10: 4333018137
ISBN-13: 978-4333018130
発売日: 1996年7月27日
定価:3,000円(本体2,913円)
目次
序文
第1章 小史(アルフレッド・リードの誕生から今日までの生い立ち)
第2章 オリジナル作品77(「プログラムノート」と「指揮者への注意」)
第3章 資料(リード小事典、年譜、作品目録、文献目録、録音目録、詩歌集、人名索引、オリジナル作品索引)
あとがき
本書を所蔵している大学図書館はこちら
リード氏と文通を始めた1981年頃「リードさんは本を書いていないのですか? 読みたいです」と書いたところ、リード氏は「本はないけれど...」と多くの雑誌論文や資料を送ってくれました。「じゃあ、代わりに私が作ろう」 と思い立って製作した本書は、当時の私がほしかった本、つまりリードの入門書であり便覧の役割をもつ最初の1冊でした。
出版に際して最終的に私は「訳者」と表記されましたが、出版社では直前まで私をどう呼ぶか(執筆者、編者 etc.) で揺れていました。なぜなら、本書には通常の翻訳書のような出版物としての原著がありません。企画・構成から資料の収集・翻訳・整理まで、私が行なったものです。第2章「オリジナル作品77」の中心となる曲目解説は、学生時代に買い集めたリードの楽譜の扉に印刷されていたものです。第3章「資料」の詩は長年探し求めた末に、京都大学附属図書館(私はそこでアルバイトの図書館員をしていた)の地下書庫や、文学部図書館の暗い書庫の片隅で掘り当てました。このように、本書は一人の大学生が編集した資料集です。
ただ、リード氏には翻訳上の不明な点をたびたび問い合わせたり、どうしても入手できない資料を送っていただきましたし、どの部分を見ても本書は「2人の共同作品」と言えます。さらに佼成出版社音楽出版室のスタッフをはじめ、さまざまな方々のご協力によって本書が完成したことを忘れるわけにはいきません。(1996年)
1970年代から80年代、日本におけるリード氏の情報はごくわずかでした。今では笑い話ですが、リード氏の写真ですら知られておらず、初来日コンサートのチラシに載った若い頃の写真と当日の舞台に現れたリード氏の違いに、聴衆は戸惑ったものです。当然、詳しい経歴や作品についても、雑誌の片隅の紹介やレコードジャケットの解説で知るのが精一杯でした。そんな中で、『アルフレッド・リードの世界』は圧倒的な情報量をお届けすることができました。出版社にすれば、こんなマニアックな本は冒険だったに違いありません。表記や文章レベル、内容の点で多くの摩擦を乗り越えてどうにか形になりました。品物はどうやらすべて完売したようです。私の手元には保存用しかありません。
1989年頃の初稿は手書き(原稿用紙の束は厚さ約20cm)、1995年頃の改訂稿はワープロ(Canoword、3.5インチ・フロッピーディスク)で清書しました。当時、調べものは図書館に頼るしかありませんでした。インターネットは普及前で、改訂稿の頃に「パソコン通信」がかろうじて使えました。それから月日は流れ、吹奏楽界は変化し、インターネットを含めた情報環境も著しく普及しました。本書の出版後は達成の安堵感から勉強を怠っていた私でさえも、本書をはるかに上回る情報が手許にあります。それに伴い訂正が必要な箇所も見つかっています。今のところ改訂等の計画は未知数ですが、せめてこのホームページを通して新しい情報を発信していきたいと、重い腰を上げたところです。ご覧に入れられるところから徐々にオープンしていきます。(2014年1月)